支援員というお仕事は、利用者さんに寄り添い、日々の安心を支えるとてもやりがいのある役割です。けれどその一方で、自分の感情を上手にコントロールしたり、常に気を配ったりと、心身のエネルギーを多く使うお仕事でもありますよね。
利用者さんのふとした表情の変化や仕草から気持ちを読み取ろうとするあまり、気づかないうちに心が張り詰めていたり、見えない疲れが溜まってしまったりすることもあるかもしれません。
だからこそ、支援員さんご自身が心を休め、自分を整える「セルフメンテナンス」の時間は本当に大切です。
今回は、私自身が体験して心がすっと軽くなった癒やしの時間、「ポーリングアート」についてご紹介します。絵の具の広がりに身を任せ、心の奥にある気持ちがそっとほぐれていくような不思議な体験を、ぜひ知っていただければと思います。
支援の現場で感じた「無意識の心のクセ」と向き合う
「潜在意識」という言葉を聞いたことはありますか? これは、私たちが普段は意識していない、心の深い部分にある領域のことを指すといわれています。
例えば、「コーヒーを飲もう」「ブログを書こう」と自分で選んで行動しているつもりでも、その背景には、これまでの経験や環境から自然と身についた「価値観」や「思い込み」が影響していることがあるそうです。
幼い頃にかけられた言葉や、日々の生活で受け取った情報は、知らないうちに心の奥に積み重なり、その人ならではの「行動のクセ」として表れることがあるといわれています。よく「意識は氷山の一角」と例えられるように、水面下にある大きな意識の存在に目を向けることは、自分の思考パターンを優しく見つめ直すきっかけになるかもしれません。
私自身、支援員として働く中で、ふとこんな気持ちになることがありました。 「もっと頑張らなければいけない」 「絶対に迷惑をかけてはいけない」
これらは、知らず知らずのうちに自分を追い込んでしまう「心のクセ」だったように思います。こうした無意識のパターンに気づき、そっと触れるような体験をさせてくれたのが、これからご紹介する「ポーリングアート」でした。
偶然の出会いから興味を持った「ポーリングアート」
ある日、友人から「ポーリングアートのワークショップをやるよ」とLINEが届きました。最初は聞き慣れない名前に、「どんなアートなんだろう?」と思わずメッセージを読み返してしまったほどです。
友人いわく、「誰でも気軽に楽しめて、世界に一つだけの作品が生まれるアートだよ」とのこと。その言葉に、私の中で興味が一気に高まりました。
開催場所は気心の知れた友人宅で、美味しいランチ付きというお楽しみもあったため、迷わず「ぜひ参加したい!」と返事をしました。新しい趣味との出会いは、案外こうしたリラックスしたタイミングに訪れるものなのかもしれません。
「ポーリングアート」とは?絵の具を注いで楽しむ自由な表現
「ポーリング(pouring)」には、英語で“注ぎ込む”という意味があります。その名の通り、アクリル絵の具をキャンバスへたらし込み、流れに任せて模様をつくっていくアートです。
筆を使って細かく描く絵画とは違い、絵の具が自然に広がっていく様子そのものを楽しむ、とても自由な表現方法が特徴です。
具体的な手順はとてもシンプル。数種類のアクリル絵の具に専用の液や水を混ぜてとろみを調整し、紙コップの中に好きな順番で重ねて入れていきます。 そして、その紙コップをキャンバスの上でひっくり返すと……色同士が複雑に混ざり合いながら、思いがけない美しい模様が一気に広がっていくのです。
仕上げにバーナーなどで軽く温めると、「セル」と呼ばれる細胞のような独特の模様が現れることもあります。乾燥するまでの数日間でも模様はじわじわと変化するため、最終的にどんな作品になるか予想できないところも大きな魅力です。
ワークショップでは、みんなで「どんな色になるかな?」と見守り合う時間も、とても温かく楽しいひとときでした。
実際の体験レポート|赤・青・黄が織りなす唯一無二の世界
私が参加したときは、基本の三原色「赤・青・黄」に加え、白と黒を用意してスタートしました。
色の順番は完全に自由です。白の上に青や黄色、赤を重ねてみたり、あえて黒を使わずに明るくまとめたり。正解のない世界で、思うままに絵の具をコップへ注いでいきます。 最後にコップの中を軽く混ぜ、キャンバスへそっと流し込むと、色たちが一気に広がり出しました。
赤と青が混ざって紫になったり、青と黄色が重なって鮮やかな緑が生まれたり。まるでキャンバスの上で色が呼吸しているかのように変化していきます。同じ色を使っても、二度と同じ模様にはなりません。この「世界にたった一つの作品」ができあがる瞬間は、心がわくわくする特別な体験でした。
(記事内には、実際に色が広がっていく様子の動画が含まれています。色が混ざり合う不思議な動きをぜひご覧ください。)
支援員として人を支える仕事をしていると、つい「自分のことは後回し」にしてしまう場面があるかもしれません。 けれど、自分の心が疲れて余裕がなくなってしまうと、誰かに丁寧に寄り添うことも難しくなってしまうものです。
ポーリングアートを通じて、私はあらためてこう感じました。 「自分を整える時間は、まわりの人にとっても大切なことにつながる」
色の流れに身を任せ、自分の心にそっと向き合う時間を持つこと。それが、明日また穏やかな気持ちで利用者さんと向き合うためのエネルギーになるのだと思います。
なぜ心が落ち着くの?コントロールを手放す「癒やし」の時間
ポーリングアートを体験して何より驚いたのは、制作の途中から心が静かに落ち着いていく不思議な感覚でした。
- 思い描いた通りにならなくても大丈夫
- 色の混ざり方は自然に任せていい
- 完璧にコントロールしなくても、美しいものは生まれる
そんなふうに、「結果をコントロールしようとする気持ち」を手放す時間が、ごく自然に訪れたのです。ポーリングアートが「手放すアート」と呼ばれることがあるのは、この感覚があるからかもしれません。
普段の私は、仕事でも家庭でも「きちんとしなければ」と、つい頑張りすぎてしまうところがあります。支援員として利用者さんに寄り添う中でも、「もっとこうしたほうがいいのでは?」と焦ったり、知らず知らずのうちに気持ちが張り詰めていたりすることも。
けれど、このアートの前では「自分の思い通りにならない部分」があって当たり前です。 色の流れに身をゆだねる心地よさに触れたことで、「すべて思い通りにいかなくても大丈夫」という柔らかい視点を取り戻せた気がしました。
この気づきは、支援員としての働き方や、日々の人間関係にも、優しく良い影響を与えてくれていると感じています。
支援員さんにおすすめしたい「アートで心を休める」メリット
支援員のお仕事は、相手の感情に深く寄り添い支える場面が多いため、気づかないうちに心のエネルギーを使っているものです。だからこそ、自分の気持ちを落ち着ける時間を持つことは、決して贅沢や特別なことではなく、長く仕事を続けるための大切なケアのひとつだと感じます。
ポーリングアートのように、無心で手を動かしながら「正解のない世界」に身を置くと、普段張りつめていた思考や感情がふっと緩む瞬間が生まれます。
- 日々の疲れをそっと癒やしたいとき
- 気持ちをリセットする空白の時間がほしいとき
- 自分自身と向き合う、ひと呼吸がほしいとき
そんなとき、アートは言葉のいらないカウンセラーのように、心に優しく寄り添ってくれるはずです。
お家で簡単にできる!心を整える3つのセルフケア習慣
本格的なアートの準備が難しい日でも、ご自宅で気軽に取り入れられる「心のメンテナンス」があります。ここでは3つの簡単なアイデアをご紹介します。
- 色を見るだけでも整う「カラー呼吸法」 好きな色をひとつ思い浮かべてみてください。息を吸うときにその美しい色を体に取り込むイメージを持ち、息を吐くときに体の中のざわつきや疲れを外へ出すように呼吸します。 とてもシンプルですが、仕事の合間や寝る前の気分転換として、優しく役立つ方法です。
- 1日3分の「感情メモ」
- 今日嬉しかったこと
- 少し気になったこと
- 心に響いた言葉
これらをノートやスマホに短く書き留めるだけで、客観的に自分の気持ちに気づきやすくなります。「書く」ことで、心の中に溜まったものを外に出す効果も期待できます。
- 手軽に楽しめる「ミニアート」 100円ショップなどで売っている小さなキャンバスに、好きな色のアクリル絵の具をのせるだけでも、意外と気分がほぐれるものです。 立派な作品の完成を目指す必要はありません。「ただ色と向き合う時間」を楽しむつもりで、遊び感覚で取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ|支援員さんこそ、自分自身を大切にする時間を
ポーリングアートという体験を通じて、私は「自分を整える時間は、まわりまわって利用者さんや周囲の人にとっても大切なことにつながる」とあらためて実感しました。
心の奥にある気持ちに気づき、自分自身をそっといたわる時間を持つこと。そうして心のタンクを満たすことで、明日また穏やかな笑顔で利用者さんと向き合えるようになるのだと思います。
もし、あなたが今「最近ちょっと疲れているかも」と感じているなら、ぜひご自身にとって心地よい癒やしの時間を意識的に作ってみてください。それはアートかもしれませんし、美味しいコーヒーや、ペットと過ごす時間かもしれません。
どんな方法であれ、あなたがあなたらしくいられる時間を大切にしてくださいね。この記事が、少しでも心の休息のヒントになれば嬉しいです。
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