支援員の心を整える時間|潜在意識に触れられるポーリングアート体験

支援員のメンタルヘルス

支援員という仕事は、利用者さんに寄り添い、安心を支えるやりがいのある仕事です。しかしその一方で、自分の感情を調整する力や気力、心身の安定が求められる“感情労働”でもあります。利用者さんの表情の変化や、ちょっとした仕草から気持ちを読み取る必要があるため、知らないうちに気持ちが張り詰めていたり、疲れが溜まっていたりすることもあります。

だからこそ、支援員が自分自身を整える「セルフメンテナンス」は欠かせません。

今日は、私自身が出会った癒しの時間――
潜在意識”に触れ、心の奥にたまっていたものがそっとほぐれていく体験「ポーリングアート」
についてお話したいと思います。

■ 支援員として気づいた「潜在意識と心のクセ」とは?

「潜在意識」とは、私たちが普段意識していない深い心の領域のことを指すと言われています。
ブログを書こう、コーヒーを飲もうといった“自分で選んでいる感覚”は顕在意識の働きですが、その背景には、これまでの経験や環境から自然と身についた価値観や思い込みが影響している場合があります。

幼い頃にかけられた言葉や、学校・社会で得た情報などは、知らないうちに心の奥に積み重なり、行動のクセとして表れやすいと言われています。
よく使われる「氷山の一角」の例えのように、潜在意識は水面下の大部分を占めていると考えられ、その存在に気づくことで、自分の思考のパターンを優しく見つめ直すきっかけにもなります。

私自身、支援員として働く中で、
「もっと頑張らなきゃ」
「迷惑をかけないようにしなきゃ」
と、自分を追い込んでしまうような心のクセに気づくことがありました。

こうしたパターンは、潜在意識の影響を受けていることもあると感じています。
そして、その潜在意識にそっと触れるような体験をくれたのが、のちに出会うポーリングアートでした。

■ポーリングアートとの出会いと最初の興味

ある日、友人から「ポーリングアートのワークショップを開催するよ」とLINEが届きました。
聞き慣れない名前に、思わずメッセージを読み返したほどです。

「誰でも気軽にできて、唯一無二の作品が生まれるアートだよ」と教えてもらい、興味が一気に高まりました。
さらに開催場所は仲の良い友人宅で、ランチ付きというお楽しみもあり、迷わず「参加します!」と返事をしました。

■ ポーリングアートとは?「注ぐアート」が生む自由な表現

「ポーリング(pouring)」とは英語で“注ぎ込む”という意味があります。
その言葉の通り、アクリル絵の具をキャンバスへ流し込むことで模様をつくるアートです。

筆を使って丁寧に描くスタイルとは異なり、
絵の具が自然に広がっていく様子を楽しむ、自由度の高い表現方法 が特徴です。

数種類のアクリル絵の具に少量の水やオイルを混ぜて粘度を調整し、紙コップに好きな順番で重ねて入れていきます。
その後、紙コップをキャンバスに伏せて持ち上げると、色同士が混ざり合いながら思いがけない模様が広がっていきます。

仕上げにバーナーで軽く温めると“セル”と呼ばれる細かな模様が現れ、数日乾燥させれば作品の完成です。
乾燥の過程でも模様が変化するため、仕上がりを予想できないところも魅力の一つです。

そのため、キャンバスの裏に名前を書くなどして、どの作品が自分のものか分かるようにしておくと安心です。
仲間と一緒に作品の変化を楽しむ時間も、ワークショップならではの温かいひとときでした。

■ 実際に体験したポーリングアート:赤・青・黄が生み出す世界

人を支える仕事をしていると、「自分のことは後でいい」と思ってしまう場面があるかもしれません。
けれど、自分の心が疲れていると、丁寧に寄り添うことが難しくなることもあります。

ポーリングアートに出会ったことで、私は
「自分を整える時間は、まわりの人にとっても大切なことにつながる」
とあらためて実感しました。

潜在意識に触れ、自分の心にそっと向き合う時間を持つことで、明日また穏やかな気持ちで利用者さんと向き合えるようになります。

もし「最近ちょっと疲れているかも」と感じたら、
ぜひご自身にとって心地よい癒しの時間をつくってみてください。
思いがけない気づきに出会えるかもしれません。

私が参加したワークショップでは、基本の三原色「赤・青・黄」に加え、白と黒を用意してスタートしました。
色の順番は自由で、白の上に青や黄色、赤を重ねたり、あえて黒を入れずにまとめたりと、思うままに注いでいきます。
最後にコップの中を軽く十字に混ぜ、キャンバスへそっと流し込むと、色たちが一気に広がり出しました。

赤と青が混ざって紫になったり、青と黄色が緑を生んだりと、キャンバスの上で色が呼吸しているように感じられます。
同じ手順でもまったく同じ模様にはならず、「唯一無二の作品」ができあがる瞬間はとてもわくわくする体験でした。

■ ポーリングアートが心を落ち着かせてくれる理由とは?

ポーリングアートを体験したとき、私が何より驚いたのは、
制作の途中から心が静かに落ち着いていく感覚でした。

・思い描いた通りにならなくても大丈夫
・色の混ざり方は自然に任せていい
・完璧にコントロールしなくても美しさは生まれる

そんな「手放す時間」が、ごく自然に生まれていきます。
ポーリングアートが“手放すアート”と呼ばれることがあるのは、この感覚に近いのかもしれません。

普段の私は、仕事でも家庭でも「きちんとしなければ」と頑張りすぎてしまうことがあります。
支援員として利用者さんに寄り添おうとすると、
「もっとこうしたほうがいいのでは?」と焦ったり、
気持ちが張り詰めてしまうこともあります。

けれど、アートの前ではコントロールできない部分があって当たり前です。
色の流れにゆだねる心地よさに触れたことで、
「思い通りにいかなくてもいい」という柔らかい視点を持つことができました。

その気づきは、支援員としての働き方や、日々の対人関係にも優しく影響してくれたように感じています。

■ 支援員にとって「アートの時間」が役立つ理由

支援員という仕事は、相手の感情に寄り添いながら支える場面が多く、気づかないうちに心が疲れてしまうこともあります。
そのため、自分の気持ちを落ち着ける時間をつくることは、決して特別なことではなく、日々を穏やかに過ごすための大切なケアのひとつだと感じます。

ポーリングアートのように、手を動かしながら「正解のない世界」に身を置くと、
普段張りつめていた思考や感情がゆるむ時間が生まれます。

・疲れをそっと癒したいとき
・気持ちをリセットする時間がほしいとき
・自分と向き合うひと呼吸がほしいとき

そんな場面で、アートは心に優しく寄り添ってくれるように思います。

■ 自宅で気軽にできるやさしいセルフケアのアイデア

アートの準備がむずかしい日でも、自宅で気軽に取り入れられるセルフメンテナンスがあります。

  1. 色を見るだけでも整う「カラー呼吸法」
    好きな色をひとつ思い浮かべ、吸う息でその色をイメージし、吐く息で気持ちのざわつきを手放すように呼吸します。
    シンプルですが、気分転換にやさしく役立つ方法です。
  2. 1日3分の「感情メモ」
    ・嬉しかったこと
    ・少し気になったこと
    ・心に触れた言葉
    を短く書き留めるだけで、自分の気持ちに気づきやすくなります。
  3. 手軽に楽しめる「ミニアート」
    100円ショップの小さなキャンバスに好きな色をのせるだけでも、意外と気分がほぐれます。
    完成を目指すというより、色と向き合う時間を楽しむイメージで取り組むと気軽です。

■ まとめ:支援員こそ自分を大切にする時間を持ってよい

人を支える仕事をしていると、「自分のことは後でいい」と思ってしまう場面があるかもしれません。
けれど、自分の心が疲れていると、丁寧に寄り添うことが難しくなることもあります。

ポーリングアートに出会ったことで、私は
「自分を整える時間は、まわりの人にとっても大切なことにつながる」
とあらためて実感しました。

潜在意識に触れ、自分の心にそっと向き合う時間を持つことで、明日また穏やかな気持ちで利用者さんと向き合えるようになります。

もし「最近ちょっと疲れているかも」と感じたら、
ぜひご自身にとって心地よい癒しの時間をつくってみてください。
思いがけない気づきに出会えるかもしれません。

 

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