支援員の私でも動揺した。発達グレーゾーンの孫のトラブルと、スクールカウンセラーに

支援員の仕事と日常

発達検査を受け、いわゆる「グレーゾーン(発達の特性がボーダーラインにある状態)」と伝えられた孫。その孫をめぐり、学校生活の中でいくつか印象的な出来事がありました。

ちょうどその頃、私の娘(孫の母親)は手術を受けたばかりで、心身ともに負担の大きい時期を過ごしていました。そんな娘が学校の「スクールカウンセラー」とつながったことで、少しずつ気持ちを整理していった体験をご紹介します。

祖母として、また普段は支援に関わる立場の一人として、家族がどう向き合ったかを綴りました。

※本記事は医療的な診断やアドバイスを目的としたものではなく、あくまで一家庭の体験談としてまとめています。

私には二人の孫がいます。上は小学生の女の子、下は男の子です。

下の孫はとても元気がよく、少しやんちゃなところがあります。 思ったことをすぐに行動に移すタイプで、じっとしていることはあまり得意ではありません。


小学校2年生で「発達検査」を勧められたきっかけと当時の様子

孫が小学校2年生の頃、担任の先生から「一度、発達の検査を受けてみませんか」と声をかけられました。

先生によると、友だちとのやり取りで行き違いが増えてきたことや、気持ちが高ぶると行動が大きくなりやすい場面があること、授業中に少し落ち着きにくい様子が見られるとのことでした。

検査の説明を受けた際、「診断名をつけることが目的ではなく、今の様子を整理して、学校生活での支援のヒントにすることが目的です」とお話がありました。 検査の結果、「いわゆるグレーゾーン」という言葉で状況を伝えられました。


発達検査は「得意・不得意」を知るためのヒント探し

そもそも、今回受けた発達検査とはどのようなものなのでしょうか。

私はふと、自分の子ども時代のことを思い出しました。小学校に入学する前に、先生と一対一でいくつか質問を受けた記憶があります。

「右手はどっちかな?」 そう聞かれて、「お箸を持つ方だからこちらだな」と右手を出したことだけが、なぜか今でも強く印象に残っています。

おそらく、あれは就学前健診の一部だったのだと思います。特に指摘がなかったため、そのままスムーズに学校生活が始まったのでしょう。

孫の場合も、就学前の段階では大きな指摘はなかったようです。しかし、学年が上がるにつれて集団生活のルールも増えます。「今の学校生活で、どこに困りごとが出やすいか」を一度整理してみましょう、という前向きな流れだったのだと理解しています。


「グレーゾーン」と言われたときの受け止め方と、孫の実際の様子

では、「グレーゾーン」とはどのような状態を指すのでしょうか。ここでは専門的な定義ではなく、説明を受けた私たちがどう受け止めたかをお話しします。

私が子育てをしていた頃にも、授業中にじっとしているのが難しそうな子がクラスにいました。授業参観の日でも教室の後ろまで歩いてきたり、先生に何度も質問したりする姿を覚えています。 勉強が苦手というよりは理解力がある子で、当時の私は「元気な子だな」くらいに感じていましたが、今思えば保護者の方は日々気を配っていらっしゃったのかもしれません。

娘に聞くと、孫には次のような様子があったそうです。

  • 机の下に落ちた鉛筆に気づきにくい
  • 授業中に周囲の音が気になりやすい
  • 忘れ物が多い

また、孫は早生まれで体も小さく、保育園では年下の子と遊ぶことが多かったことも思い出しました。小学校低学年では、生まれ月による成長の差が出やすいと言われることもあります。

そうした点も含めて、「今の年齢では何が得意で、どこでつまずきやすいのか」を整理し、学校や家庭での関わり方を考えること。 私にとって今回の検査は、孫が過ごしやすくなるための材料を集める「機会の一つ」でした。


「この子の個性だから」。娘の言葉で私の気持ちが落ち着いたこと

検査結果を聞いたあと、娘は私にこんなLINEを送ってきました。

「診断名がつこうがつかまいが、私はあまり気にしてないよ。 この子の個性だと思っているから

その言葉を読んで、私はホッと安心しました。 私よりも、娘の方が母親としてずっと大きな心で息子を受け止めているのだと、感心させられた瞬間です。

読み書きもある程度でき、身の回りのことも自分でできる孫。 日常生活に大きな支障があるようには見えなかったので、当時の私も「個性の範囲内だし、そんなに心配しなくても大丈夫なのでは」と感じていました。


何大人の何気ない言葉が、子どもの心に影を落とすことも

ただ、その後に少し胸が詰まる出来事がありました。

親戚が集まった際、孫の前で「〇〇くんって、発達のことで病院に行っているの?」といった話題が出たそうです。悪気があったわけではないと思いますが、子ども心に強く残ってしまう言葉もあるのだと感じました。

さらに、父親が心配して学校の様子を聞く場面でも、孫にとっては「問い詰められている」「責められている」と感じるような雰囲気になってしまったようです。

あとから娘が話してくれたのですが、孫は「また何か言われるのでは」「自分は変なのかな」と小さな胸を痛めていたのかもしれません。

大人にとっては状況確認のつもりでも、子どもにとっては「自分自身を否定された」ように感じることがあります。だからこそ、子どもの前での言葉選びには、細心の注意を払いたいと改めて思いました。


 

原因探しよりも、「子どもが安心できる環境」を整えること

この話を聞いたとき、私は改めて考えさせられました。

「発達」や「検査」という言葉は、大人が思う以上に子どもの心に重く残ることがあります。たとえ心配から出た言葉でも、受け取り方によっては「自分はダメなんだ」と否定されたように感じてしまう場合もあります。

支援の仕事に関わる私自身も、普段は言葉選びを意識しているつもりでした。それでも自分の家族のこととなると、焦りや不安が先に立ち、冷静でいることの難しさを実感しました。

私が大切だと思ったのは、「なぜそうなったか」の原因探しや決めつけではなく、「どうすれば子どもが安心して過ごせるか」という環境を整えることです。 周りの大人が温かい目線で見守ることが、子どもの日々の安心につながるのだと思います。


退院してまもない時期に重なった、学校でのトラブル

それから半年ほど経った頃のことです。娘は病気の治療のため手術を受け、数日間入院することになりました。私は退院後の生活をサポートするため、しばらく娘の家に滞在していました。

退院して間もないある日、孫の通う小学校から娘に連絡が入りました。 学校で友だちとの間に行き違いがあり、結果として手が出るようなトラブルにつながってしまった、という内容でした。

病み上がりの体で、気持ちを必死に立て直しながら対応しようとする娘。その背中を見て、私は胸が痛みました。娘は術後の痛みをこらえながら、学校へ向かいました。


叱る前に、まずは子どもの「言い分」と「気持ち」を聴く

学校から説明を受けて帰宅した娘は、動揺もあり、家に戻った孫を思わず叱ってしまいました。

「どうしてそんなことをしたの?」 「手を出してはいけないよね?」

孫は半泣きになりながら、自分なりの事情を話しました。 相手からかわれるような言葉を繰り返し言われ、何度も「やめて」と伝えたものの止まらず、気持ちが限界になってしまったようでした。

事情を知った娘は、「辛かったね、気づけなくてごめんね」と孫を抱きしめました。 そして、「気持ちは痛いほど分かるけれど、手を出してしまうと〇〇くんが悪くなってしまうから、次はどうすればいいか一緒に考えようね」と、落ち着いて伝えました。

その後、相手のご家庭とも話し合いが必要になり、すぐには解決しない状況が続きました。

 


悩みや緊張が続くときほど、一人で抱え込まず、気持ちを整える時間や相談先を持つ大切さを伝えるイメージです。

「ひとりで抱え込まなくていい」。スクールカウンセラーへの相談

解決の糸口が見えず悩んでいた私は、教育現場の経験が豊富で、子どもの支援にも詳しい知人に相談しました。

その方はまず、退院したばかりの娘の体調や心の負担を気にかけてくださり、「今はいろいろ大変な出来事が重なっているから、ひとりで抱え込まなくていいよ」と優しく声をかけてくださいました。

そして、具体的なアドバイスをくれました。 「学校には『スクールカウンセラー』がいるはずなので、まずはそこにつないでもらうのが一番安心だと思う」

相談へ行く前に、起きた出来事や困っていること、親子それぞれの今の気持ちを簡単にメモしておくと、限られた時間でも話しやすくなるそうです。 また、カウンセラーへの相談内容は守秘義務があり守られるため、「安心して話して大丈夫だよ」と言っていただけたことが、私にとっても大きな支えになりました。


親も弱音を吐いていい。専門家につながって楽になった心

このアドバイスを娘に伝えると、娘はすぐに学校へ連絡し、スクールカウンセラーへの相談を予約しました。

後日、カウンセラーの先生にじっくり話を聞いてもらい、娘はずっと抱えていた不安や葛藤を言葉にできたそうです。その場では、たくさん涙が出たとも聞きました。

私の前では気丈に振る舞い、泣けなかった娘。「母親としてしっかりしなければ」という思いが強かったのかもしれません。 利害関係のない専門家にただ受け止めてもらえたことで、娘の気持ちは随分と軽くなったように見えました。


【まとめ】親も子も、辛いときは「助けて」と言える場所に

今回の出来事のその後については、また整理できたタイミングで別の記事にまとめようと思っています。

今回、一連の出来事を通じて私が強く感じたのは、「親も子も、決してひとりで抱え込まなくていい」ということです。

スクールカウンセラーは、子どものケアのためだけでなく、保護者が気持ちを整えるための大切な相談先にもなります。担任の先生とはまた違った視点で話を聞いてもらえるため、状況によっては養護の先生や地域の相談窓口など、いくつかの「逃げ場所」「相談場所」を持っておくことが、心の余裕につながると感じました。

祖母として、そして支援に関わる立場の一人として、これからも「つながる支援」と「安心を手渡す関わり」を大切にしていきたいと思います。

 

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