【現場レポ】知的障害者施設 支援員の1日|日勤・夜勤の仕事内容とやりがい

支援員の仕事と日常

知的障害者施設で働く支援員は、利用者さんの暮らしを支えるプロフェッショナル。生活介助だけでなく、その人らしさを守るパートナーでもあります。
本記事では、現役支援員である筆者の体験談を交え、日勤・夜勤それぞれの仕事内容を時系列に紹介します。初めて施設職に興味を持った方にも読みやすいよう、用語の解説やFAQも添えました。

支援員の勤務シフト例(私の職場)

勤務タイプ 勤務時間
日勤① 8:00~17:00
日勤② 9:00~18:00
日勤③ 10:00~19:00
夜勤① 13:00~22:00
夜勤② 13:00~翌9:00
夜勤③ 22:00~翌9:00

【8:00〜19:00】日勤の仕事内容と現場エピソード

8:00|出勤・情報共有

送迎担当の日はアルコールチェックと検温からスタート。前日の様子や体調を共有します。ある日、「昨夜眠れなかった利用者さん」の情報を受け、午前中の運動量を軽めに調整。結果として午後の疲労感が少なく、転倒リスクも下げられました。

8:10|利用者さんの送迎

ご自宅でご家族と短い会話。「今日は少し元気がないかも」と聞いた日は、車内でそっと手を握ると安心したように微笑んでくれました。数分の往復にも、信頼関係が育つ瞬間があります。

9:00|来所・健康チェック(バイタル確認)

体温や血圧などのバイタルを確認。普段より顔色が優れない利用者さんに気づき、看護師と相談して早めに受診。大事に至らなかった経験から、「小さな違和感に気づく観察力」の大切さを痛感しました。

9:30|朝の活動(体をほぐす時間)

ラジオ体操やウォーキングで心身をウォームアップ。「外の風が気持ちいいね」という一言に、こちらも元気をもらいます。

10:00|午前の活動(興味と得意を伸ばす)

  • 外出支援:公園、買い物、地域散策など
  • 室内活動:折り紙、アイロンビーズ、カードゲーム、音楽活動
  • 個別支援:塗り絵、マッサージ、リラクゼーション

現場エピソード:アイロンビーズが得意な利用者さんの作品を掲示したら、「可愛い」「わたしもやりたい!」と周囲にも波及。活動の輪が自然に広がりました。

12:00|昼食支援・服薬・歯磨き

きざみ食・ペースト食など食事形態を個別調整。誤嚥防止のため姿勢や声かけを工夫。「今日はハンバーグ!」という嬉しそうな声に、同じメニューでも食べやすさを意識して準備します。

13:00|午後の活動(創作・運動・レク)

バランスボール、絵画、貼り絵、カラオケ、お誕生日会など。夜勤スタッフも合流し、日中の様子を引き継ぎます。普段は静かな利用者さんがカラオケで堂々と歌い切り、拍手が起こったときは胸が熱くなりました。

15:00|入浴支援・記録

衣類の着脱や洗体介助に加え、皮膚の状態を確認。湯舟にゆっくり浸かって嬉しそうな顔をみるとこちらも嬉しくなります。記録には残らない小さな表情も、支援の大切な成果です。

17:30|服薬準備(ダブルチェック)

命に関わる工程のため、必ず複数名で確認。ヒューマンエラーを仕組みで減らします。

17:50|送迎・ご家族への報告

「今日はカラオケを楽しみました」「〇〇公園に行き、たくさん歩きました」など行動の様子を共有。施設と家庭がつながることで、生活の一貫性が生まれます。


【18:00〜翌9:00】夜勤の仕事内容と静かな支援

18:00|夕食支援

日中の疲れが出る時間帯。無理のないペースで誤嚥に配慮します。「おいしい」「おかわり」「今日もありがとう」の一言は、疲れを和らげる魔法です。

18:30|就寝準備(歯磨き・排泄誘導・更衣)

テレビやおしゃべりでリラックス。おやすみ前の穏やかな時間が、安心につながります。

20:30〜21:00|眠前薬の服薬支援

ダブルチェックを徹底。飲み込みの状態も確認します。

21:00〜|夜間の見守り(定期巡回・コール対応)

23時・2時・5時に巡回。不安で眠れない利用者さんには、温かいお茶を淹れて少しお話を。安心して眠りにつく表情を見ると、この仕事の意味を強く感じます。

5:00|朝の準備(記録・朝食の薬確認)

夜間の様子を記録し、朝の導線を整えます。

6:30|起床介助(検温・更衣・トイレ誘導)

シーツの汚れや体調の変化をチェック。身だしなみを整え、朝に備えます。

7:30〜8:00|朝食支援・服薬支援〜引き継ぎ

朝も服薬確認を徹底し、日勤スタッフへ確実に引き継ぎます。


支援員として大切にしていること

  • 安全第一:誤嚥・転倒・服薬ミスを仕組みで防ぐ
  • 観察力:「いつもと違う」に気づき、早めに連携
  • チーム連携:看護師・栄養士・ご家族と情報共有
  • 記録の正確性:次の支援方針・法的リスク回避に直結

この仕事のやりがい

支援員の一日は、特別な出来事よりも日常の積み重ね。それでも、笑顔や「ありがとう」、できなかったことができるようになる瞬間に立ち会えるのは、何度経験しても胸が熱くなります。
人を思う気持ちを軸に、安心と自分らしさを支える——それが私の仕事です。

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用語のミニ解説

バイタルチェックって?
体温・脈拍・血圧などの基本的なからだの状態を測ること。体調変化の早期発見に役立ちます。
誤嚥とは?
食べ物や飲み物が気管に入ってしまうこと。むせやすい方は食事形態・姿勢・ペース配分を調整します。
ダブルチェックとは?
服薬など重要工程で、2人以上で確認する方法。人為的ミスを減らす安全対策です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 未経験でも支援員になれますか?

A. 施設によっては未経験可の募集も多く、入職後にOJTで学べます。介護職員初任者研修などの資格があると安心です。

Q2. 日勤と夜勤、どちらが大変?

A. 役割が異なります。日勤は活動量・連携が多く、夜勤は少人数での見守りと判断力が求められます。どちらもチーム支援が基本です。

Q3. 体力やメンタル面が心配です。

A. こまめな休憩・姿勢配慮・チーム相談が第一。記録に感情も簡潔に残し、抱え込まないことが長続きのコツです。

Q4. やりがいはどんなときに感じますか?

A. 小さな一歩に立ち会えたとき、笑顔や「ありがとう」に触れたとき。日常の積み重ねに価値があります。

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