知的障害者施設 支援員の一日【日勤・夜勤の仕事内容を詳しく解説】

  1. |知的障害者施設での仕事とやりがい
  2. 1. 支援員の勤務シフト例
  3. 2. 【8:00〜19:00】支援員の日勤業務:一日の流れと役割
    1. 8:00 | 出勤・情報共有:1日を安全に始める準備
    2. 8:10 | 利用者さんの送迎業務:ご家族との連携も重要な支援
    3. 9:00 | 来所・健康チェック:安全な1日を過ごすために
    4. 9:30 | 朝の活動:体をほぐし、笑顔を広げる時間
    5. 10:00 | 午前の活動:多様なプログラムで個性を引き出す
    6. 12:00 | 昼食支援・服薬・歯磨き:安心して「食べる」ための支援
    7. 13:00 | 午後の活動:無理なく、自分らしく参加できる支援
    8. 14:30 | おやつタイム:心がほどける癒しの時間
    9. 15:00 | 入浴支援・記録記入:安心と安全を配慮したケア
    10. 17:30 | 夕食前の服薬準備:ダブルチェックで安全を確保
    11. 17:50 | 利用者さんの送迎業務:ご家族への報告
  4. 3. 【18:00〜翌朝9:00】夜勤業務:見守りと静かな支援
    1. 18:00 | 夕食支援:ペースや形態に合わせた個別対応
    2. 18:30 | 歯磨き支援・排泄誘導・就寝準備
    3. 20:30〜21:00 | 眠前薬の服薬支援
    4. 21:00〜 | 翌朝までの見守り・夜間支援
    5. 5:00 | 夜間の記録、朝の準備
    6. 6:30 | 起床時の検温・更衣支援
    7. 7:30 | 朝食支援・服薬支援
    8. 8:00 | 歯磨き支援・トイレ誘導・引き継ぎ
  5. 4.支援員が大切にしている視点と工夫
  6. 5. 支援の「日常」にこそ、専門性とやりがいがある

|知的障害者施設での仕事とやりがい

知的障害者施設で働く**「支援員」**の仕事は、利用者さんの暮らしに寄り添うプロフェッショナルです。一人ひとりの個性や人生を尊重し、食事や排泄といった身体介助だけでなく、その人の「思い」や「生き方」を大切にする専門職です。

しかし、「具体的にどんな仕事をしているの?」と聞かれると、なかなかイメージが湧かないかもしれません。この記事では、ある生活介護施設の支援員がどのような一日を過ごしているのか、日勤から夜勤までの流れをリアルにご紹介します。これから支援員を目指す方や、福祉の仕事に興味がある方にとって、支援現場の理解に役立つ内容になれば幸いです。


1. 支援員の勤務シフト例

私の職場の勤務時間は、その日の業務内容によって下記のパターンが基本です。短時間勤務や夜勤のパート勤務者も加わり、多岐にわたる業務に対応しています。

日勤業務 ①8:00~17:00 ②9:00~18:00 ③10:00~19:00

夜勤業務 ④13:00~22:00 ⑤13:00~翌9:00 ⑥22:00~翌9:00


2. 【8:00〜19:00】支援員の日勤業務:一日の流れと役割

8:00 | 出勤・情報共有:1日を安全に始める準備

8時出勤者は、朝の送迎担当者になります。出勤後、まずは検温とアルコールチェックを行います。送迎担当者はアルコールチェックが必須です。前日・前夜の支援内容や利用者さんの体調、今日のスケジュールなどをスタッフ間で共有し、効率的な送迎ルートを確認します。

8:10 | 利用者さんの送迎業務:ご家族との連携も重要な支援

送迎車に乗り、利用者さんのご自宅へ向かいます。ご家族から利用者さんの様子(「昨日は寝つきが悪かった」「朝ごはんはしっかり食べた」など)を伺うことは、その日の支援方針を立てる上で非常に重要です。また、車中での利用者さんの「ちょっとした変化」に気づくことが、体調不良やトラブルを防ぐ第一歩となります。

9:00 | 来所・健康チェック:安全な1日を過ごすために

施設到着後は、体温測定やバイタルチェック、連絡帳の確認を行います。連絡帳には、ご自宅での様子や新しいお薬の情報などが記載されていることもあります。私の職場では、平日は看護師が常駐しているため、主に看護師が健康チェックを行います。
支援員は医療職ではないものの、日々の観察を通じて「いつもと違う」に気づけるプロでもあります。必要があれば、看護師やご家族に連絡を取り、無理なく過ごせるよう調整します。

9:30 | 朝の活動:体をほぐし、笑顔を広げる時間

ラジオ体操やウォーキングなど、体を動かす活動から1日のスタートです。身体機能の維持や精神の安定につながる大切な時間です。「おはようございます! 今日は〇〇体操やってみましょう」そんな声かけから始まり、自然と笑顔が広がっていきます。

10:00 | 午前の活動:多様なプログラムで個性を引き出す

利用者さんの興味や関心、身体状況に合わせて、さまざまな活動を提供します。

  • 外出支援:公園やスーパー、地域散策など。他害行為(不穏時に、他の利用者さんや職員などを叩いたり、噛んだり、つねる行為をすること)がある利用者さんには、他の利用者さんとの接触を避けるために外出活動を促すこともあります。
  • 室内活動:折り紙、カードゲーム、音楽活動、調理レクリエーションなど。グループ活動が苦手な方には、一人でできる塗り絵やアイロンビーズなども用意します。
  • 個別支援:カードを使った認知課題やマッサージ、リラクゼーションなど。

活動の目的は、成功体験を積み重ね、「自分もできた」という喜びを感じてもらうことです。

12:00 | 昼食支援・服薬・歯磨き:安心して「食べる」ための支援

昼食は、利用者さんの健康と楽しみのために欠かせない時間です。「ご飯はペースト状で提供」「おかずはきざみで提供」など、食事形態は個別に異なります。誤嚥防止のため、姿勢の調整や声かけも欠かせません。このように利用者さんごとに異なる支援が求められます。

13:00 | 午後の活動:無理なく、自分らしく参加できる支援

13時には夜勤の職員が出勤し、日中の様子や引き継ぎ内容を確認してから業務に加わります。午後は、午前とは違うテーマで、室内運動(バランスボール・ゲートボール・的当てゲームなど)や創作活動(レゴ・絵画・貼り絵など)、レクリエーション(カラオケ大会・お誕生日会・調理など)などを行います。利用者さんの表情や反応をよく観察し、無理なく参加できるようサポートします。

14:30 | おやつタイム:心がほどける癒しの時間

利用者さんにとって、大切で楽しみなリフレッシュタイムです。調理員の手作りスイーツが提供されることもあり、利用者さんの笑顔がたくさん見られる時間です。

15:00 | 入浴支援・記録記入:安心と安全を配慮したケア

ロングステイやショートステイの利用者さんには、職員がペアで入浴支援を行います。衣類の着脱や洗髪・洗体の介助だけでなく、皮膚の状態を確認するなど、細やかな配慮が必要です。他の利用者さんはこの時間に創作活動などを続け、支援員は記録作成や翌日の準備を進めます。入浴後の水分補給は必須です。

17:30 | 夕食前の服薬準備:ダブルチェックで安全を確保

夕食前の服薬準備は、命に関わるため特に重要です。必ず職員間でダブルチェックを行い、正確性を期します。

17:50 | 利用者さんの送迎業務:ご家族への報告

日中一時利用の利用者さんをご自宅までお送りしあす。この時、日中のご様子などや連絡事項などをご家族にお伝えします。


3. 【18:00〜翌朝9:00】夜勤業務:見守りと静かな支援

18:00 | 夕食支援:ペースや形態に合わせた個別対応

夕食の時間です。利用者さん一人ひとりの食事形態(きざみ食、ミキサー食など)に合わせ、誤嚥リスクに注意しながら見守りや声かけを行います。食後も再び服薬支援があり、飲み込みの確認を怠りません。

18:30 | 歯磨き支援・排泄誘導・就寝準備

夕食後は歯磨き、トイレ誘導、パジャマへの更衣、おむつ交換などの就寝準備を行います。その後は利用者さんがテレビを見たり、おもちゃで遊んだり、会話を楽しんだりするリラックスタイムです。

20:30〜21:00 | 眠前薬の服薬支援

就寝時間が近づくと、眠剤などの服薬支援が始まります。利用者さんの思いに寄り添いながら支援を調整し、ここでもダブルチェックを徹底します。

21:00〜 | 翌朝までの見守り・夜間支援

21時の消灯後、利用者さんは居室へ移動します。夜間は巡回(23時、2時、5時)やコール対応が主な業務です。施設内の清掃や洗濯作業も行います。静かな夜間は、落ち着かない利用者さんに寄り添い、話を聞く大切な時間でもあります。

5:00 | 夜間の記録、朝の準備

夜間の様子を記録したり、朝食時の薬を確認します。日中の外出に備え、水分補給の準備もこの時間に行います。

6:30 | 起床時の検温・更衣支援

利用者さんの起床後、トイレ誘導、着替えの支援を行います。シーツの汚れをチェックし、身だしなみを整えるお手伝いをします。

7:30 | 朝食支援・服薬支援

朝食の準備が整ったら食堂へ誘導し、食事介助や服薬支援を行います。服薬はここでもダブルチェックを徹底します。

8:00 | 歯磨き支援・トイレ誘導・引き継ぎ

食事が終わった方から歯磨きやトイレ誘導を行い、日勤の職員に利用者さんの状況を引き継ぎます。


4.支援員が大切にしている視点と工夫

  • 安全第一:誤嚥防止・転倒防止・服薬ミス防止

  • 個別対応:利用者さんの生活歴や好みに合わせた支援

  • チーム連携:看護師・栄養士・家族との情報共有

  • 記録の正確性:後日の支援判断や法的トラブル防止に直結


5. 支援の「日常」にこそ、専門性とやりがいがある

支援員の一日は、決して特別なことの連続ではありません。しかし、「食べる」「眠る」といった当たり前の日常を、利用者さんと一緒に過ごす時間には、「安全」「快適さ」、そして「その人らしさ」を大切にするという専門性が詰まっています。

体力的にも精神的にもハードな面はありますが、利用者さんの笑顔や「ありがとう」の言葉、小さな成長に気づけた瞬間は、何気ない日々の中に深いやりがいを見出せる仕事です。

この記事を通して、支援の現場のリアルと、その奥にある想いが少しでも伝われば幸いです。あなたも、誰かの「暮らし」に寄り添う支援の世界へ、一歩を踏み出してみませんか?

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